あそちゃんの白血病闘病記

2019年9月30日に発覚した、慢性リンパ性白血病の闘病記です。

慢性リンパ性白血病闘病記15(グリベックという薬の問題)

私は「慢性リンパ性白血病」患者なのだけど、同じ慢性白血病で「慢性骨髄性白血病」という疾患がある。

似たような名前だけど、病態も治療方法も違うのである。私と同じ病気で闘病している人がいると知らされるけれど、多くはリンパ性ではなく骨髄性であることが多いと思う。なぜなら「慢性リンパ性白血病」の患者はとても珍しいからである。

例えば大分県の人口は113万人。私の病気の発症率は30万人に1人である。ということは、大分県下で同じ病で闘病している人は統計上は3~4人ということになる。

[補足:これ、大きな勘違いである。発症率は年間の値なので、毎年それくらいの人が罹患するということである。私の主治医のT先生によれば、県下の慢性リンパ性白血病患者はおそらく数十人はいるだろうという事だった。]

一方「慢性骨髄性白血病」の方は10万人に1人の発症率である。こちらは約3倍の闘病者がいるということになる。

どちらにしても白血病という病気になる人はかなり少数である。当たってしまっても決しておめでたくはない。辛いだけである。

ところで「慢性骨髄性白血病」はよく効く薬が開発されたので、今では死なない病気になった。それまでは骨髄移植が成功しなければ治せない疾患だったのである。5年くらいでほとんどの患者さんが亡くなっていたのに、それが毎日普通に家で薬を飲むだけで大丈夫になったのだから、医学の進歩というのは素晴らしいものである。

その薬はグリベックという分子標的薬という種類の薬である。病気の細胞だけを攻撃するから、体に負担をかけないし副作用も従来の薬より軽い(程度問題もある)と言われている。

しかし問題は、この薬は一生飲み続けなければならないし、価格が非常に高い。大体1回1万円であるから、年間360万円。保険3割で高額療養費制度に助けられても年間60万円かかるから、かなりの負担になる。それが一生涯続くのである。特許が切れて、ジェネリック薬が出て、ちょっとは変わってきたということで少しは安くなったとも聞く。

しかし命と引き換えのこの価格。決して安くはない。日本には国民皆保険制度があるから、まだいい。アメリカなんかそういう制度がないから、お金が払えなくて、泣く泣く死んで行く人がいるのである。アメリカの慢性骨髄性白血病の10年生存率は60%という。ひどい話である。

国民皆保険制度は色々と問題になっていて、国の財政を圧迫しているという現状もあるけれど、自分が白血病という病気になってみて、やっぱりこの制度は続けていって欲しいなとつくづく思うのである。